同時録画はポートレートモードのように背景をぼかせるか
結論から言うと、ぼかせません。同時録画のどちらのカメラも、ポートレートモードのように背景をぼかすことはありません。これはアプリのどこかに隠れている設定ではなく、マルチカメラセッションがそもそも何を届けるように作られているかという構造の話です。届けているのは2つのライブ映像であり、どちらか一方の深度マップではありません。
この理由を知っておく価値があるのは、それが回避策をそのまま指し示してくれるからです。本物の背景ぼかしには、前後同時録画では絶対に手に入らない情報が必要です。しかし人が実際に求めている「被写体と背景が分離して見える」感覚のかなりの部分は、深度データなしでもレンズ選び・距離・構図で手に入ります。
ポートレートモードのぼかしは何でできているのか
背景のぼかしは、画面全体に均等にかけるフィルタではありません。シーンの各部分がレンズからどれだけ離れているかを読み取った深度マップをもとに、被写体と背景を見分け、背景側だけを、遠いほど強くぼかす形で作られています。この深度マップを作ること自体が、独立した撮影作業です。端末は通常の画像と並行して、専用に構成されたセンサーと処理経路を使って距離の情報を集める必要があります。
だからこそポートレートモードはずっと「モード」であり続けていて、あとからどんな映像にも足せるフィルタにはなっていません。それが変えているのは結果の処理の仕方ではなく、端末がそもそも何を撮っているかそのものです。
マルチカメラセッションが深度マップを生まない理由
前面と背面のカメラを同時に動かすこと自体で、マルチカメラセッションが使える予算はもう使い切られています。セッション内のすべてのカメラは明示的にマルチカメラ対応のフォーマットで動く必要があり、両方の映像を合わせたコストは1つのハードウェア予算の中に収まらなければなりません。これは便利なプリセットが使えないことや、単独のカメラより解像度の上限が低いことと同じ理由です。深度の取得は、2つのフルサイズのカメラと並んでその予算が運ぶように作られたストリームには含まれていません。深度取得は専用のセンサーと専用の処理を持つ別の作業で、通常は1台のカメラだけが予算を独占できるときに動かすものです。
これは誰かが解除し忘れた制限ではなく、2つの撮影方式がそもそもどう作られているかという構造上の事実です。同時録画アプリは2つの通常の映像をリアルタイムで1枚のフレームに合成します。どちらの側についても深度の読み取り値を持ったことは一度もありません。深度の読み取りは、セッションが取り決める対象にそもそも含まれていないからです。
深度マップなしで被写体と背景を実際に分離する方法
本当に効くのはほとんど距離です。背景が被写体から離れているほど、レンズが像を結ぶ仕組みそのものによって、何の処理をしなくても自然にピントが外れて見えやすくなります。自分と背後の壁のあいだにあと3歩分の距離を置くほうが、どんなフィルタよりも分離に効きます。
レンズ選びも影響します。同じ位置から同じ被写体を撮るなら、望遠レンズは距離を圧縮するので、広角レンズより「分離している」ように読めます。iPhone に望遠レンズがあるなら、背景を主張させずに後ろへ引かせたいカットではそちらを選んでください。超広角はその逆で、背景まで含めてすべてをくっきり際立たせます。
残りは対比が担います。被写体を背後の壁より1〜2段明るく照らす、あるいは背景にない色を身につけるだけで、フレーム全体が端から端までくっきりしていても、被写体がはっきり読み取れます。これは背景ぼかしを端末が計算できるようになるずっと前から、写真家が使ってきた手です。
編集アプリで後から足せるもの、足せないもの
同時録画が完成ファイルになったあとなら、動画編集アプリはその上に効果を重ねられます。録画中にすでに焼き込まれたフィルタの上にさらに色調整を重ねられるのと同じように、フレーム全体にぼかしやビネットをかけることもできます。できないのは、顔がどこで終わり背景がどこから始まるかを知ったうえでの選択的なぼかしです。それには最初から取得されていない深度の読み取り値が必要だからです。画面全体に均一にかけるぼかしは、被写体ごとぼやけさせてしまいます。
より本格的な編集アプリで被写体をフレームごとに手作業で切り抜くことは技術的には可能で、実際に根気のいる作業です。映画の中のごく一部のカットのために取っておくような手間であり、日常の vlog やリアクション動画のためのものではありません。
よくある追加の疑問
前面カメラや背面カメラが単体で背景をぼかすことはありますか。
ありません。ポートレート風のぼかしは、1台のカメラとその深度センサーを中心に組まれた撮影方式に属するもので、前後カメラを同時に動かすマルチカメラセッションのものではありません。両方のカメラが同時に動いているあいだ、どちらの映像にも深度データは含まれません。
絞りを開けば似た効果を出せますか。
スマートフォンでは無理です。iPhone のレンズの絞りは固定されており、専用カメラのように調整できるダイヤルではありません。ここで実際に効くのは、背景との距離とレンズの選択です。
望遠レンズに切り替えれば解決しますか。
助けにはなりますが、程度の差であって代わりにはなりません。望遠レンズは広角レンズより背景を圧縮するため、より分離して見えます。距離を取ることとシンプルな背景を組み合わせれば、ぼかし処理なしでも十分な見た目に近づけます。
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