DualCam

Face ID は同時録画を止めるか

止めません。Face ID が顔を読み取るのは TrueDepth と呼ばれる一式のハードウェア——目に見えない赤外線のドットパターンを顔に投影するプロジェクター、そのパターンが顔の凹凸でどう歪むかを読み取る赤外線カメラ、暗い場所でスキャンするための赤外線フラッド照明——によるものです。これは、自撮りやデュアルカメラ録画の前面側に使われる通常のインカメラとはまったく別のハードウェアで、たまたま画面上部の同じ出っ張りの中に収まっているだけです。Face ID によるスキャンは、DualCam が使っている映像ストリームを開くことも、一時停止させることも、横取りすることもないので、そもそも録画側には何も干渉するものがありません。

そう疑いたくなるのも無理はありません。外から見れば、画面上部にあるのは1本の黒いガラスの帯だけで、背面のレンズ群でないカメラ関連のものは、すべてそこに収まっているように見えます。まったく独立した2つの撮像系が、筐体の同じ場所を共有していると、つい「1つのカメラが2つの仕事をしている」と思ってしまいます。

同じ筐体の中にある、まったく別の撮像系

自撮りや FaceTime 通話、あるいは同時録画の前面側に使われるインカメラは、背面カメラと同じように普通の可視光を撮る、ごく普通のカメラです。向きが逆なだけで、仕組みは同じです。Face ID はこのセンサーをまったく使いません。読み取っているのは深度と赤外線の反射で、まったく別の部品一式によるものです。顔に見えないドットパターンを投影するプロジェクター、そのパターンが顔の凹凸でどう歪むかを読み取る赤外線カメラ、暗所でのスキャン用に顔を赤外線で照らすフラッド照明——どれもカラー画像のデータではなく、そもそも動画アプリが要求できる類の映像ストリームでもありません。

この住み分けは、デュアルカメラアプリが登場するよりずっと前、Face ID という機能が生まれた瞬間からすべての対応 iPhone に共通する仕組みです。2つの普通のカメラを同時に動かせるようにした AVCaptureMultiCamSession よりも歴史が古いものです。DualCam が要求する前面カメラの映像と、Face ID によるスキャンは、もともと別々のハードウェアに向けた別々の要求であり、Apple がそれらを物理的に同じ場所へ配置したから、関係があるように見えているだけです。

筐体を共有することと、セッションを共有することは別

iOS のキャプチャセッションは、ある瞬間には特定の1台のカメラデバイスに対して、1つのアプリにだけ割り当てられます。DualCam が要求する前面カメラの映像は、通常のインカメラデバイスへの要求経路そのもので、カメラアプリが自撮りに使うのと同じ経路です。Face ID の認証はこの経路をまったく通りません。TrueDepth センサーを中心に組まれた、独立したシステムレベルの処理として動いており、その時どのアプリがどのカメラセッションを開いているかとは無関係です。

これは、このサイトで繰り返し取り上げている状況——前後2つの普通のカメラが、同じチップ上の1つの処理予算を共有している状況——とは根本的に別の話です。Face ID は、その予算を奪い合う「3つ目のカメラ」ではありません。すでに使われている2つのカメラのうち片方と、たまたま同じ方向を向いている、まったく別の認証システムです。

録画中に Face ID が実際に関わってくる場面

録画を始めること自体、端末がロック解除済みで DualCam が画面の最前面にあることが前提になっているため、「端末のロックを解除するために Face ID を使う」という、いちばんよくある出番は、そもそも録画中に自然発生することがありません。録画中は画面もスリープしない状態が保たれ、放置しているときのように自動的にロックがかかることもないため、ロック画面が、ひいては Face ID が、録画の途中に招かれもせず現れる場面もありません。

現実的にありうるのは、録画そのものとは無関係な理由で、たまたま顔のスキャンを求めるシステムの確認画面が出てくる場合です。支払いの承認や、あるアプリが自動入力しようとした保存済みパスワードの確認などがそれにあたります。このとき録画が中断されるかどうかを決めるのは、Face ID そのものではありません。その確認画面によって DualCam が最前面から外れるかどうか——ほかのアプリやシステム画面が録画を中断できるかどうかを決めるのと、まったく同じ条件です。もし最前面から外れれば、それまでに録れていた部分を、ほかの中断のときと同じようにきちんと確定・保存します。外れなければ、確認画面が消えた時点で録画はそのまま続きます。

実際の撮影で意識すべきこと

ハンズフリーや三脚での撮影で、録画中ずっと DualCam から目を離さない場合、これはそもそも気にする必要のあることではありません。その撮り方自体が Face ID のスキャンを招くことはないからです。関わってくるとすれば、録画が十分に長かったり、何か別の理由で途中に何度も中断が入ったりして、たまたまシステムの確認画面がその最中に重なった、というごくまれなケースだけです。そのときに理解しておく価値があるのは、その中断そのものであって、その過程でたまたま顔がスキャンされたという事実そのものではありません。

よくある追加の疑問

DualCam の前面カメラの映像には、Face ID の TrueDepth カメラが使われていますか。

いいえ。DualCam が録画するのは通常のインカメラの映像——自撮りや FaceTime 通話と同じもの——であり、Face ID が読み取る赤外線の TrueDepth センサーではありません。両者は同じ筐体に収まった別々のハードウェアです。

Face ID の確認画面が出ると、録画中の同時録画は一時停止したり壊れたりしますか。

Face ID によるスキャンそのものは録画に触れません。録画を中断しうるのは、そのスキャンを求めた確認画面が DualCam を最前面から外すかどうかという点で、これはほかのアプリやシステム画面が録画を中断できるかどうかと同じ条件であり、扱いも同じです。

Face ID をオフにすると、同時録画はより安定しますか。

いいえ。Face ID と同時録画はまったく別のハードウェアを使っているため、Face ID をオフにしてもセキュリティ機能が1つ減るだけで、録画の挙動には何の変化もありません。

同時録画には Face ID や TrueDepth が必要ですか。

必要ありません。DualCam は前後カメラの通常の映像だけを録画し、TrueDepth に深度や赤外線データを要求することは一切ないため、Face ID がオンかオフか、使用中かどうかは録画に一切関係しません。

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