同時録画でインカメラとアウトカメラの色が違って見えるのはなぜか
結論から言うと、前面カメラと背面カメラは別々のハードウェアで、それぞれ自分に見えている光だけを見てホワイトバランスを決めています。だから同時録画の画面の両側で色味がズレるのは、アプリの不具合ではなく起きて当然のことです。よくあるのは片方がやや暖色寄り、もう片方が寒色寄りに見えるパターンで、ワイプの小窓と、それとは光の条件がまるで違うメイン画面を並べたときにいちばん目立ちます。
これは「インカメラのほうが寄って見える」(画角の違い)や「片方だけ暗い」(露出の違い)とは別の現象で、どちらも本サイトの別の記事で扱っていますが、根っこは同じです。合成されて 1 枚の画面になる瞬間まで、互いにまったく関知していない 2 系統の撮影経路だということです。
2 つのカメラ、2 回の独立したホワイトバランス判断
スマートフォンのカメラは固定の中立な色をそのまま記録しているわけではなく、センサーに当たっている光の色温度をフレームごとに推定し、自動で補正しています。iPhone ではこれが稼働中のカメラごとに独立して行われます。前面カメラと背面カメラは別の物理モジュールで、それぞれ別にチューニングされており、どちらも相手が何の光を見ているかを知りません。
単眼撮影ではこれは表に出ません。推定は 1 つだけで、自分自身と一致していればそれで済むからです。同時録画では話が違います。同じ合成フレームに収まる 2 つの画像は、ほぼ同時に行われた、しかも別々のシーンについての、2 回の独立したホワイトバランス判断をそれぞれ抱えています。片方を日陰の玄関に、もう片方を開けた空に向ければ、どちらのカメラも間違ったことはしていないのに、色のズレははっきり出ます。
屋内のほうがズレが大きくなりやすい理由
屋外の日光はシーン全体でおおむね同じ色温度なので、屋外での前後同時撮影は特に何もしなくても色が揃うことが多いです。ズレが育つのは屋内です。数歩後ろの窓が前面カメラに映る顔へ寒色寄りの光を当て、頭上の暖色の電球が背面カメラの向く先を照らしている——あるいはその逆。それぞれのカメラは自分が実際に見ている光に忠実に補正し、その結果、忠実に別々の答えにたどり着きます。
これは、日光と白熱灯が混ざった部屋を普通に撮ると変な色になるのと同じ理由です。混合光源はそもそもオートホワイトバランスにとって難物で、同時録画はその混合光の部屋に 2 つのホワイトバランスシステムを同時に置いているようなものです。
フィルターで直せること、直せないこと
DualCam のフィルター——なし・ビビッド・ウォーム・クール・モノクロ・フィルム——は、カメラごとに 1 つずつではなく、合成後のキャンバス全体に 1 つだけ適用されます。フィルターが効く時点で 2 つのカメラ映像はすでに 1 枚のフレームへ統合されているので、どの見た目を選んでも両側にまったく同じように乗ります。
これは思っている以上に効きます。主張の強い見た目は両側の色を同じカーブに通し直すので、両者の見た目の差を圧縮します。モノクロは色そのものを取り除くので色のズレも一緒に消えますし、ウォームやクールは軽いズレを「失敗」ではなく「意図した色味」に見せる方向へ寄せてくれます。フィルターにできないのは、2 つの元画像がそもそも違う色データから始まっているという事実そのものを消すことです。両側に同じ「色付け」をしているのであって、差を測って補正しているわけではありません。
撮る前に実際に効くこと
- 両方の被写体をできるだけ同じ種類の光で照らす。顔が窓明かりなら、背面カメラの被写体も照明の効いた部屋ではなく日光の下に置けないか考える。
- 画面の中に混合光源を作らない。光源自体が完璧でなくても、両方のカメラが同じ課題に向き合っていれば結果は近くなる。
- 記憶ではなくプレビューで確認する。見えている画面がそのまま録画されるので、撮る前にひと目確認するのがいちばん確実。
- それでもズレが出たら、フィルターを後付けの言い訳ではなく正式な対処として使う。モノクロは 6 種の中でいちばん確実な「揃える」役で、両側から色という変数を一度に取り除くから。
あわせて知っておきたい、もう 2 つの「ズレ」
色は、同時録画の両側で目に見えて食い違いうる 3 つのうちの 1 つにすぎません。インカメラのほうが寄って見えるのはレンズの画角そのものが違うからで、片方だけ明らかに暗くなるのは 2 つのカメラの露出も別々に決まっているからです。どちらも本サイトの別記事で扱っていますが、根っこは色のズレと同じです。2 つのカメラは、それぞれ画面の自分の側しか知りません。
よくある追加の疑問
前後カメラの色が合わないのは不具合ですか。
いいえ。前面カメラと背面カメラが別々のハードウェアで、それぞれ自分に見えている光だけをもとにオートホワイトバランスを決めていることの直接の結果です。合成前にこの 2 つの判断をすり合わせる仕組みはないので、混合光源の下で色がズレるのは起きて当然のことです。
背面カメラのレンズを切り替えると色のズレは改善しますか。
変わることはありますが、良くなるとは限りません。超広角・広角・望遠は別々のモジュールで、それぞれ色の出方も違うため、録画中にレンズを切り替えると前面カメラとの色の関係がどちらの方向にも動きえます。
撮ったあとの編集で色のズレを直せますか。
できますが、かなり手間がかかります。2 つのカメラ映像はすでに 1 枚の平らな画面に合成されているため、片側だけ補正するにはその領域をマスクして別々にグレーディングする必要があります。アプリが最初から 2 つの独立したファイルとして録画していた場合に比べて、ずっと大変です。
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