DualCam

iPad で同時録画(デュアルカメラ撮影)はできるか

できません。DualCam は iPhone を必須とし、iPad やシミュレータでは動作しません。ただ、この理由は多くの人が思っているものとは違うので、少し立ち止まる価値があります。1 台の端末で 2 つのカメラを同時に動かす能力、AVCaptureMultiCamSession は、iPhone 専用として定義されているわけではありません。汎用のキャプチャ API であり、それ自体のハードウェア要件があるだけで、その要件は特定の端末カテゴリに縛られてはいないのです。

だから「iPad はこれに対応しているか」という問いへの誠実な答え方は、2 つの問いを分けることです。ハードウェアと API が原理的にマルチカメラセッションを走らせられるかどうかと、個々のアプリがその端末をサポートすると決めているかどうかは別の話です。DualCam は 2 つ目の問いに「対応しない」と答えていて、その理由はチップよりも、録画される画の形に関係しています。

能力自体は iPhone 専用ではない——専用にしているのはアプリの方

Apple はマルチカメラ撮影の要件を A12 Bionic 以降のチップと、比較的新しいバージョンの iOS または iPadOS が必要と説明しており、この要件はチップの世代で語られていて、端末カテゴリでは語られていません。DualCam 自身の対応条件は iPhone XS、iPhone XR 以降で iOS 17 以上というものですが、これは同じ要件のうち iPhone 側の部分であって、アプリのために新しく作られた別の厳しい条件ではありません。

DualCam が録画前に実際に確認しているのは、システムが持つ 1 つのフラグ——この端末がマルチカメラ撮影に対応しているかどうか——だけです。iPhone であればこのフラグだけが判断材料になります。iPad ではそこまで話が進みません。アプリ自体の対応端末の条件がすでに iPad を除外しているため、マルチカメラのハードウェアチェックが意味を持つ前の段階で対象外になるからです。

それでもアプリがこの線を引いている理由

書き出される映像は 2 本の別々のカメラ映像ではなく、1 枚の合成キャンバスです。幅 1080 ピクセル、高さ 1920 か 2340 ピクセルで、リアルタイムに描かれてそのままファイルに書き込まれます。このキャンバスは縦向きで、その正確な比率や、各レイアウトがカメラ映像をそこに収めるために使うクロップの計算は、片手で縦に構えた iPhone を前提に組まれています。

iPad は根本的に違う形をした端末です。画面はもっと横に広く、持ち方も普段は違い、そもそも手に持たれていないことも多い。同じピクチャ・イン・ピクチャや分割レイアウトをこの形に当てはめるのは、既存のキャンバスを引き伸ばすだけでは済みません。クロップの割合、小窓を置く角の位置、幾何計算全体を、別のアスペクト比と別の構え方のために組み直す必要があります。iPhone に絞っているのは、レイアウトが何を前提に設計されているかという判断であって、ハードウェアができないことを回避するための処置ではありません。

実際に iPad で試すとどうなるか

DualCam の対応端末の条件は「iPhone、縦向き」であり、iPad でもシミュレータでもないと明記されています。これはアプリの要件の 1 つとしてはっきり書かれているもので、実際に試して奇妙な結果に行き当たって初めて分かることではありません。対応範囲外の端末では、誰も想定していない状態のまま動かすのではなく、そう明言するように作られています。

それでも iPad で 2 台のカメラを使う撮影が必要なら

2 人の対談を撮る画面の広さ、三脚に載せたときの安定感、構図を確認する余白の広さなど、この種の撮影で人が同時録画を求める理由の一部については、iPad のほうが iPhone より確かに向いている場面もあります。ただし、それはマルチカメラのハードウェアが使えるかどうかとは別の話で、特定のアプリが何を対応端末として作られているかを変えるものでもありません。

現状 iPad でできる現実的な方法は、同時録画アプリが登場する以前からある方法と同じです。2 台の別々の端末で撮影し、あとから編集アプリで 2 本のクリップを合わせるか、iPad 標準のカメラで 1 本のきれいな単眼撮影として撮るか。縦向き・iPhone 前提のツールを別の形のハードウェアに無理に当てはめるより、そのほうが確実です。

よくある追加の疑問

iPad のハードウェアは実際に 2 台のカメラを同時に動かせるのですか。

原理としては、この土台となる能力は iPhone 専用と定義されているわけではなく、チップと API 次第で、端末カテゴリでは決まりません。特定の iPad のモデルがその条件を満たすかどうかと、DualCam を含む特定のアプリがそれに対応すると決めているかどうかは、別の問題です。

iPad で DualCam を開くとどうなりますか。

アプリが明記している対応端末の条件——iPhone、縦向き、iPad とシミュレータは対象外——から外れます。そのため、その iPad のチップがマルチカメラのハードウェアチェックを通過できるかどうかに関係なく、対応構成ではありません。

iPad で同じような結果を得る方法はありますか。

汎用的な方法は、2 台の別々の端末——iPad とスマートフォン、あるいはスマートフォン 2 台——で撮影し、あとから編集アプリで 2 本のクリップを合わせることです。1 回の合成録画より準備の手間は増えますが、特定のアプリが iPad に対応しているかどうかには左右されません。

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